記憶

5/6
前へ
/19ページ
次へ
[ガチャン!] 勢いよくドアを開ける。 「さくら!さくらいるか?」 [シ~ン…] 「お~い!さくら、どこにいるの?」 そう 呼び掛けるが返事がない… 「……」 静寂が訪れる。 (どこに行ったんだよ…) そう思っていると、机の上に置き手紙があった。 [私用が出来ましたので、二、三日、留守にします。 二、三日したら、帰って来ますので心配しないで待っててください]。 手紙にはそう書いている。 「さくらって、ちゃんと 字を書けるんだ。」 と 関心した。 (いやいや、関心している場合じゃない。こんなことになるなら携帯くらい持たすべきだったかな…) そんなことを考えながら ソファーに腰掛けた。 「はぁ… せっかく大事なことを思い出したのに… 肝心なさくらが居ないんじゃなぁ。」 そう言ってガックリと肩を落とした。 お風呂に入り、ご飯を食べ ソファーで寛ぐ、 「…なんか寂しいなぁ。」 テレビを見ながらふと そう思った。 元々一人暮らしだったから、これが普通の生活のはずなのだが、ここ最近は、ずっとさくらと一緒だったから、急に一人にされると、寂しく感じてしまうのである。 「まぁ、帰ってくると言っているんだから待つしかないか…」 そう、自分に言い聞かせて寝床へついた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加