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記憶
それから二週間が経った。
「ジリジリジリ~!!」
目覚ましの音が鳴り響く。
いつもの日課がスタートする。
実は、昨夜、不思議な夢を見た。
楽しそうに遊ぶ五歳くらいの男の子と、少し年上だろうか、女の子が仲良く遊んでいる夢を見た。
まぁ、夢のことは置いとこう。
「ん?さくら 何してるの?」
ベランダの扉を開けてさくらが何かと話ている。
「あっ おはようございます♪小鳥さんとお話してるんですよ♪」
「えっ?」
(小鳥と話すなんてなんとメルヘンチック(笑))
「精霊は小鳥と話せるの?」
「いいえ♪ 動物ならみんなと話せますよ♪」
「へぇぇ。精霊って凄いんだね。」
こう言ってる間に身支度は済ませた。
チーン!! 焼き上がったトーストを食べながら、気になったことを聞いた。
「そう言えば、さくら、またその話し方だよね?」
「えぇ… 今のけんちゃんはちょっと怖いから…。 それに…」
そう言ってさくらは黙り込んだ。
「それに?」
「なんでもないです…」
しばらく沈黙が続いてから私が話し出した。
「… わけわかんないや」
そう言い残してわたしは家を出た。
「わたしにはわかるよ… 一人じゃないから… 今は言えな
いかな。迷惑かけてばかりだし、もっと人間の世界を学ばなきゃね…」
「でもね…約束くらい覚えてて欲しかったな…」
一人残された部屋でさくらはそう呟いた。
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