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「そうやって何か違う事に 振り回されればいーんじゃない?」 あたしと海治の周りには 少しの立ち見客がいて チラホラ、と小さな噂が飛ぶ。 「あ、もちろん、今のは冗談」 「よかった……」 「だって、咲良と付き合ったら オレ、きっと鎖、繋いじゃうくらい 束縛するよ……」 そう言った海治の顔は また、笑っていなくて やっぱり、ドキリとした。 「だから咲良とは、今のままで充分」 「……ん」 「…………今の所はね」 海治は冗談だと言いながら ソレを軽く上塗りしたり 笑っていても 笑っていなかったり あたしにも、まだ掴みキレない 彼の部分がある。 きっとそれは 一生分かんないと、この時思った。 そして、顔を上げて また、歩き出した時 払拭されていた元凶が 人と人の、先の先に どうしてだか分からないけど あたしを見据えて 立っていて。
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