2189人が本棚に入れています
本棚に追加
‘今日、泳ぎに行くけど?’
そう飛ばしてきたのは海治。
泳ぎに、か。
そう言えば、最近怠けていた事を思い出して
二つ返事で、折り返した。
直ぐに既読の文字が刻まれて
‘じゃあ、後で’
応答も早く。
こっちのチグハグな会話とは
エライ違いだと思いながら
スマホを鞄にしまった。
その後も
何を話すでもなく、二人並んで
ボーッとして
タイムリミットの10分前にあたしは席を立つ。
「センセー、さようなら」
売られた喧嘩をちゃんと
買った印に、また、この
何でも虜にしてしまうであろう
オトコの瞳を見つめながら
精一杯の微笑みを浮かべて。
三神センセーは、何も言わずに
瞼だけを一度、ゆっくりと閉じて
あたしを見送った。
最初のコメントを投稿しよう!