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「妊婦さんなのに、こんなに 遅くまで働くんですか」 率直に疑問に思った事を聞いているあたし 看護師さんは、あはは、と笑って 答える。 「今日は帰るタイミング逃しちゃって 本当は、もっと早く帰るとこだったんです」 「そうですか ……そうですよね、遅いとご主人も 心配されますもんね」 「はい でも、きっと咲良さんのお連れの方も 心配されてますよ?」 ふふ、と笑いながら 処置室のベッドに横になる指示を出され て 所謂、産婦人科で見掛ける 診察台 もう何度か経験済みで今更抵抗はなくて 「ちょっと待ってて下さいね」 その後直ぐに賑やかな女性の声がして 「山下先生」 「はいはい」 女医さんなんだと直ぐに分かった。 きっと、女性の方がいいだろうと 判断してくれたんだろう あたしは、どっちでも良かったけど。 「失礼しますよー」 そう言われて、下半身に 冷たいような、温いような感覚を覚えた。
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