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抱き上げてもいっこうに目覚める気配の無い華を部屋に連れ帰り、布団に下ろす
「何にも無い部屋も、寂しいもんだな」
華に使え、と言った部屋は
本当にガランとしていて
夕焼けに染まる外の影響で
薄紅に染色されている
横たわる彼女は、まるで童話に出てくる
姫のように
無防備な寝姿をオレに見せつけた
衝動が起立する
瞼の先の弛くしなった長い睫毛
スラリと通った鼻筋に続く
小ぶりだが、少し厚めの唇
首に巻かれたストールを解くと
露になる、紅く染まった首筋、その一点に
もっと濃い紅
窪んだ喉元から、鎖骨のラインは
麗しく跳ね上がっていて
これだけでも
掻き立てられて、止まない
左手の黒のリボンをスルリ、と抜き去る
クッキリと浮かんだ
指の痕に、ピタリと指を這わせ
そこに唇を寄せた
思わず
込み上げた、感情と
それを上回る欲情が
性急な渇きをもたらす
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