20

5/7
前へ
/36ページ
次へ
「さて」 ひと仕事を終えて あたしの直ぐ隣に腰を下ろしたバーグ先生。 「Miss咲良、本当に見違えました」 ククク、と肩を揺らしながら あたしに目を細める姿を、どうしてだか義父と重ねてしまって 「貴女をこんなに えー、素直に、違う……フランク、そうだけど……」 あー、えー、と何かの単語を探りながら 思案するバーグ先生の姿に少しだけ可笑しさを覚えながら 見ていると 「ああ!ざっくりバラン!」 あたしは思わず吹き出した。 「ち、違って、マス……?」 やだ、バーグ先生 違う意味で、癒しの貴公子…… 堂々と、しかもハッキリと 少年のようなキラキラした目で人差し指を立てた バーグ先生に、母性本能を擽られた。 「す、すいません、思わず笑っちゃいました …………ざっくばらん、ですね フランクです」 「Oh!ソレ、ソレですねー!」 バーグ先生は多少はにかみながら あたしに微笑んだ。 「で?そんな風に貴女をザックバランにしたのは この間のトークに関係があるんでしょうか?」 静かに、柔らかく、羽で触れられるような 声のタッチが耳に心地よく響く。 あたしは、自分の変化にはよく理解出来ていない部分があったが 迷わずに頷いていた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1878人が本棚に入れています
本棚に追加