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「咥えて」 バキ、というよく耳にする 何かが簡単に凹む音 華は唯々諾々(イイダクダク)と オレの足の間に跪いた 彼女の所作から目が離せない どうやってオレを見るのか どうやってオレを解くのか どうやってオレに擦り寄るのか 紐にかけられた繊麗な指で ただクルリと巻いただけの 結び目を引っ掻けて、落とす 滑らかな動きに息を忘れた 重なったタオル地を内側から 決して、ソコには触れないように たおやかに剥ぎ取る 刹那、緋(アカ)く染まったかのように 見えた、色に濡れた瞳に 我を忘れそうになって 慌てて自分を引き戻した
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