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華の左手首を、そして右手首を ゆっくりと拾い、緩やかに 引き上げる 正に、オレを含もうとしていた 寸前の出来事に 顔を上げた彼女の瞳は こんな月明かりの夜にも関わらず 緋色を宿し、オレに怪訝さを向ける 命を忠実に執行しようとして それを遮られたんだから 当たり前か オレは優しく微笑み、彼女に言った 「コレは使用禁止」 両手首は拘束する 「オレが預かっとく」 さて、どうしようか 掌が使えないなら、その方がよく 堪能デキルだろ? 「華が使うのは」 いや、これも建前 嘘っぱち オレが、ただ こうシタイだけ
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