1553人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「バーグ先生……、な、なんか今日は
いつもと違うような気がします」
ポソリとした呟きに
「ワタシは、いつもと同じです
強いていうなら、貴女が変わったからでしょう
物事の捉え方も、考え方も、そして、環境さえも変わった
Miss咲良、貴女がワタシを見る目も、変わったのでは?」
「は?」
「愛は寛容で、偉大で、というのは
こういう事を指すのかもしれませんね」
バーグ先生は優雅に紅茶を飲み干した。
マスカットフレーバー漂う部屋に
やっと、いつもの静寂が訪れる。
「あぁ、喉が渇いた、もう一杯如何ですか?」
そう言って、意地悪くウインクを飛ばし席を立つ。
こんなにカウンセリングしてくれれば、喉だって渇くよね。
「頂きます」
あたしはバーグ先生に、最近なれてきた微笑みを披露して
カップを空にした。
「貴女の笑みが、どんどん本物になりますように」
バーグ先生は
柔らかく微笑んで、あたしからカップを受け取る。
「あぁ、いけないいけない、直視はキケンです」
ハハハ、と笑いながらポットのお湯を再度沸騰させる。
後ろを向いて肩を竦める仕草は
なんとも、英国人っぽく、あたしの心を
更に和やかにした。
最初のコメントを投稿しよう!