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今、三神センセーがどう思って
何を考えているのかが
そればっかりが、気に掛かる。
志伸さんと一緒に行く、そう口にした癖に
‘中途半端な決意だったら口にすんなよ’
志伸さんはそう言った。
中途半端なんかではなかった。
彼の往年の愛に応えるにはそれが一番の得策だと思ったからだ。
あたしがずっと見向きもしなかった
志伸さんとの現実を受け入れるのに、そうする事が最善だと思ったからだ。
だけど志伸さんは決してそうはしないと
分かっていたのも、事実。
狡いのはあたしか。
流れる涙が熱かった
まだ、志伸さんが中にいる事も熱かった
彼の苦しい愛が囁かれ
吐き出される度に、身体と心が裂かれた
ツキハナサレタホウガイイ
キュッと締まったお腹の奥から
志伸さんの残した意志が、溢れる
イケないって、言ったじゃん
なんで、あたしでしか、イケない、の……
悲しくて、辛くて、狡いあたしは
こんな状況さえ、利用する
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