1668人が本棚に入れています
本棚に追加
「三神、センセ」
……こんな、寂れた、荒(スサ)んだシーンでは
ピッタリの可哀想な声。
自分が、どれほど嬌声を上げていたのか思い知らされる。
「華……なんで、お前なんだ」
こんな狡いあたしに
どうしてそんなに情けをかけるの
「センセ、ご免なさい……」
うまく、笑えたかどうかは分からないけど
近頃覚えた、作り笑いとは違うらしい、笑み
だけど、三神センセーのそれは
情でも、憐れみでも、なかった。
「……なんで、お前なんだ」
あたしに少しずつ近付いてくる
彼の顔は
怒りと、な、に……
掴まれた肩に強い圧迫
だけどそれは直ぐに背中までまわり込んで
「お前じゃなくても、……」
感情を押さえ、放ちながら
あたしを抱き起こす
「……め、なさ、」
切なくて
胸が痛くて
最初のコメントを投稿しよう!