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「はい」 「着替え、済んだら出てきてください」 もう準備が整っていた事もあり、あたしは言われた通り カーテンを開けて、外へ出る。 「あ、ここ、座って?」 狭い部屋にお互いの膝がぶつかりそうな程近くで向き合う。 「ごめんね?狭くて」 「いえ」 ヤマシタ、と書かれたネームプレート 山下先生は、何やら薬をテーブルの上に置き 今からこれをここで飲んでいくように、説明をした。 「咲良さん」 「はい」 「自分で拒めないような関係ではない?」 答えずにいると 「言いたくないわよね」 「いえ、そういう訳では」 そう答えたあたしに、ちょっと驚いたような素振りを見せた 山下先生。 「そう まぁ、色んな愛情の表現があるから一概には言えないけど 貴女の様子からすると、ムリヤリ、って訳じゃなさそうねぇ」 「はい」 本当の事を言ったとしても それは、なかなか受け入れても、理解すらしてもらえない 「そうね、だったら尚更だわ」 「は?」 「はい、これ、飲んで」 渡されたのは 錠剤1粒と、小さな紙コップに入った水。 素直に従って、それを飲み干した。
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