23

14/28
前へ
/39ページ
次へ
「さて咲良さん、初めまして吉川です」 「はい」 吉川先生は自己紹介をして 直ぐ様、本題を切り開いた。 「言いたくない事を聞きます」 「はい」 「誰にヤられたの?」 「言えません」 吉川先生は両足で地面を蹴って あたしから離れていく。 転がる椅子は結構な距離を移動した。 ……なんだ、この、ドクター。 「即答だなぁ」 そう言い、笑いながら戻ってくる姿は滑稽で 「ま、相手が三神では、ない事は明らかだからね」 「……」 「自分がヤッタと言い張るけどね」 やっぱり、胸が痛い 「咲良さん」 「はい」 「三神の事宜しくね」 「は?」 吉川先生は左側の口角だけを上げて 妖しく微笑む。 「アイツがこんな風に女性に接するの、見た事ないから 相当、入れ込んでるんだと思うんだ」 「?」 何を、この人は、言いたいの? 「分かんない?」 「分かりません」 だって、あたしは、1億で買われた。 1億の借金があるんですけど……。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1668人が本棚に入れています
本棚に追加