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普段、感取(カンシュ)した事のない
明らかな煩(ワズラ)いが
今ではオレの闇色でさえ呑み込んで
右も左も分からなくなってしまった
ただの黒
なんの力も持たない、ただの黒
そんな喪心(ソウシン)を促すくらいの出来事だった、らしい
アニ、という位置付けにいて
イモウト、という存在を隅から隅まで正に文字通り、限りなく知り尽くし
そしてオレよりもはるかに大量に自分を植え付けて
結婚相手がありながらも、尚もイモウトを侵食し続ける
嫉(ソネ)ましい存在
「ありがとうございました」
すぐ斜め前の扉が開いて
華が出てくる
伏せた瞼
しっかりとした黒い睫毛をパッと持ち上げて
その奥の瞳がオレ捉える
過信ではないだろう
安堵と緩和を覚えたその瞬間の顔色
忙しない夜間救急の雑音が
華とオレには届かなくなった
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