1636人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
写真に写るのは
テーブルの前側におとうさんと、お母さん
そして、テーブルの後ろに志伸さんとあたし。
みんなが笑顔なのに
あたしだけ笑えないのは
このちょっと前に
志伸さんがあたしの初めてを貫いていたから。
ぐちゃぐちゃの、グルグルで
あたしはずっと訳が分からなかった。
「華ちゃん、笑ってないのがもったいないな」
「……ほんと、だねぇ
あ、中2っていったら難しい時期だから、かなぁ
あたし、覚えてないや」
気を逸らすのにページをめくって
写真を見てみる。
だけど、あたしと志伸さんの写っているモノって
どれも、これもそんなストーリーがあるような
モノばっかりで
ホントに苦しくなった。
最後のページに入ってたのは
この間の吉田ファミリーとの食事会の時のモノで
吉田弟だけが、カメラを睨んでいて
「オレ、祐介君にはどうも嫌われてるみたいでさ」
ポツリと呟く志伸さんを見て
どうやら、あんまりヨクナイ雰囲気になりそうな気配を感じる。
目の周りに流れてきたのは
きっと、涙だ。
最初のコメントを投稿しよう!