1587人が本棚に入れています
本棚に追加
無駄な疲れを感じながらやっと帰りついた部屋
まず、彼女を確認するべく
部屋の扉を小さくノックする
‘オヤスミナサイ’と、だけ告げられたメールは
もう、数時間前で
確実に眠りの中にいるであろう事前提でドアをソロリと開けた
何もない部屋の中の布団に
小さく丸まった華は
柔らかな寝息を均一に繰り返す
頭を撫でて
その髪がまだ湿っている事に気付いた
半分だけ握られたスマホ
それを枕元に置いた瞬間に
光を帯び、音を立てた
ビクリとした
こんな時間に誰だ
確認するつもりなんて到底ないのに
目についたディスプレイに息を詰められた
何故深夜に、電話をしなきゃならないのか
何かを思い出したからか
それとも
元々忘れてなどいないのか
安堵に浸っていた情感が
瞬く間に黒い妬心に変わる
オレは、慌てて部屋を出てバスルームに飛び込んだ
最初のコメントを投稿しよう!