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そう、来たか 副島 志伸 そこまでして 彼女が欲しいのか そして、また視界の端に見知った男が入り込む 病院の白い壁と対照的な黒の装いを目立たせながら 何処かで見たような茶色い封筒を手に 颯爽と歩いてきた男 さっき、華にも聞いた、副島 志伸の婚約者の弟 あの夜、華の首を締めたオトコだ 「あぁ、あなたは 先日はどうも失礼をしました」 オレの顔を見るなり突然、切り出す 失礼どころの話じゃナイ 「華ちゃんなら、今病室に一人ですよ? 大変な事になりましたよね、華ちゃんのオニイサン」 何も言わないオレに スラスラと決められた台詞でも読むように語りかける 目の前のオトコ 「オニイサンも酷いヒトですよ、華ちゃんの事だけを都合よく忘れるなんて ……あんなに愛し合ってた二人なのに、ねぇ?魔王様」 何故、オレと彼女の周りにはこんなに 質の低い輩がチョロチョロするのか 「あ、魔王様も華ちゃんにゾッコンなんでしたっけ」 同じだな 夕べ見た、佳奈子と同じ目 挑戦的で害心に富み、しかも恨みの籠ったその目を 何故、華に向けるんだ
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