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「だったら、なんだと言うんだ」
口を開けば、また、低い音
「あー、本当にそうなんだ、しっかし華ちゃんはモテるなぁ
まぁ、あの外見ですからね、騙されるヤツも多いでしょ
でも、魔王様もソロソロ切った方がいいんじゃないですか?」
「何が言いたい」
「さあ?」
意味あり気に笑うそいつは
封筒を持った手を振りながらオレの前を通り過ぎて
「あんまり華ちゃんに本気にならない方がいいですよ?」
これは忠告です、魔王様に敬意をはらって
そう、付け加えた
日曜の病院は入院患者の家族や知人で溢れていて
だけど、決して喜ばしい雰囲気ばかりとは言い切れない
涙を溢れさせ
寄り添い合う
眉根を寄せて密かに語り合う
笑顔も、悲しみも
沢山の感情が行き交う中
オレはここに似つかわしくナイ
禍(マガ)つ激情に駆られていた
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