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「華ちゃんもビックリしただろ?オニイサンが事故だなんて」 突然、あたしにも話を振った吉田さんは その日初めて目付きを変える。 「ビックリしました」 「だよね?しかも、華ちゃんの事だけ分からなくなる、なんてオマケ付き」 吉田さんの言い方にもやや難が出始めた 「祐介君、それは華ちゃんには関係ないから」 ちょっと笑いを交えながら 志伸さんが、ばつが悪そうに言った。 「そうでした、オニイサン でも、……こんな都合のいい事もあるんですね」 「吉田さん」 あたしが睨むのも他所に 吉田さんは構いもしない 「うまい事、余分なモノだけ忘れるなんて、ある意味凄い このまま、ずっと思い出さない方がいいですよ?」 吉田さんはじっとりと志伸さんを睨み そして、それをあたしに向けた 「そういえば、華ちゃん、今日はあの彼氏さん、一緒じゃないの?」 ん?と首を傾げながらあたしに尋ねる仕草が 悔しい程にムカついた。
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