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「オニイサンがこんな時なのに、昨日も車の中でナニしてた彼」 この人、見てたのか いや、見られても当たり前か スモークが貼ってあるのは後部だけだし 「祐介君、華ちゃんのプライベートの事は 話す必要ないだろ?」 少しだけ低くなった志伸さんの声に ふーん、と鼻を鳴らしてさらに吉田節は続く。 「オニイサンは、記憶がなくても華ちゃんには優しいんだ まぁ、華ちゃんにとったら好都合だよね、とっても。 オニイサンに全部忘れてもらって あんな事も、こんな事も、全部ね」 アハハハハ、と高い笑いを響かせながら 楽しげに吐き捨てた吉田さん お見舞いに来るのにわざと選んだとしか思えない 黒いポロシャツに黒いチノパン ポロシャツのワンポイントの赤いマークが 余計にその黒を強調していて あたしを以前悪魔と呼んだ、その彼こそが悪魔に見えた。
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