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彼女の前に右手の方のカップを置く
「ありがとうございます」
「元気でしたか……少し痩せましたか」
暫く見ていないせいだろうか
顎のラインがシャープに見えたのと
鎖骨の浮き彫りが深くなったのと
「変わりませんよ、たぶん」
そう
目を伏せて
長い睫毛が微かに揺れる
彼女は、本当に美麗で
名前の通り、華がある
以前はどこか億劫そうで
倦怠を纏っていたが
ここ最近では目を見張るほどリファインされて
見ているこちらが目を背ける程だ
……何も、起こらなかったのか
オレの顔に視線を合わせた副島 志伸は確かに
微笑していた
あの、挑発的なソレは
間違いないと、思う
彼の記憶は失われてはいない、もしくは
もう、戻っている……かと推測される
例えば一過性の健忘は
事故や、何かのショックである部分が抜け落ちてしまっても
自分が落ち着いてくれば、自然に思い出していて
要は記憶の整理がつく
彼はきっと
記憶の整理がついている
そして、未だにナイふりをしているのは
やはり、彼女の為、か
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