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穏やかな空気を纏う彼女の瞳から
緋色が消えてゆくのを見ながら
少し残念な気持ちと
仕方がない諦めとを半々に抱く
「そうですか」
「新明さんはセンセーと結婚の約束をされていらっしゃるとか」
「していません」
そこは、きっぱりと断言して
「……そう、なんですか
何でもご存じだと、仰っていましたから」
ピキリと、浮き立つのはオレのこめかみの青いライン
「彼女には何ひとつ話した事はありません」
「三神センセーのお家のご事情も聞きました」
「そうですか」
「三神センセー」
「はい」
「あたしは、どうすればいいですか」
オレを見上げるのは
本当に、彼女なんだろうか
そう、思わせるくらいに
儚い
このまま消えてしまうんじゃないかと
また、考えて
「華」
「はい」
「華はオレから離れられる?」
そう、聞いていた
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