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「オレは無理」
……華が
「愛しくて
可愛くて、仕方がない」
オレの闇色はどこへいったのか
そう聞かれれば
まだ、何処へもいってはいない
今は闇さえも通じない
温かく、慈しみに溢れた愛を奏でよう
フ、と力の抜けた音が空気に乗り
同時に一瞬にしてその大きな瞳いっぱいに張った涙は
ゆるゆるとなだらかに滑り落ち
彼女の頬を伝う
きっと
心身共に立てられた爪や牙の痕は深く
沢山の哀を抱えた腕は冷たい
頬に掌を添えると
苦しそうに眉間を寄せて唇を噛んだ、華
「ゲームはオレの負け」
頬を滑り抜け
首の後ろに手をかけて引き寄せ
もう、唇に触れる直前に囁いた
「お前はオレの」
イヤだったら噛んで、逃げて?
最後のセリフは口腔に突っ込んだ
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