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「みんな、ミカちゃんを振り返る」
ニコニコと笑いながら
聖さんはあたしをエスコートして
「君が綺麗だからね」
ロビーを優雅に歩いた。
T国ホテルと、道路と劇場と道路を挟んで聳え立つ
Pニンシュラの、広くて、ゆったりとしたそこで
聖さんを出迎えたのは、総支配人と、副総支配人と、チーフコンシェルジュ?と、後、誰?この人達……
あたしはオマケ
しかも、ドレスのままで
恥ずかしいし。
「あ、着いてこなくて大丈夫、カギだけ頂戴」
青い瞳の総支配人がにこやかにカードキーを二枚
聖さんに手渡した。
深々と頭を下げ続けるお出迎えの群衆に
あたしは、そこに目を向ける事も出来ないくらい
恥ずかしかった。
……聖さんは、本当に只の輸出入の会社の社長さんなんだろうか……
って、そんな訳、ナイ。
「聖さん、あなたは何者なんですか?」
「何者になってほしい?」
「いえ、こっちが聞いてるんですが……」
エレベーターが目の前で開き
あたしは手を引かれながら乗り込んだ。
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