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「華!」 俄に、騒がしいノイズが 耳の 頭の? 奥の方で聞こえて 「松島!救急車!」 二人の顔色が変わっていく様子を その音にまみれながら 見ていた。 奏さんを 見ていた筈なのに 気づけば、視界には蛍光灯が照らされた天井 心臓が拍動する度に沸き上がってくる 痛さと熱さがあたしの知覚を根刮ぎ もぎ取っていく。 ‘な!’ ‘……は……’ ‘はな’ 誰かが呼ぶのも 分からなくて 同時に急激に身体から何かが退いていくのを感じた。 きっと 奏さんの呼ぶ声と あたしを抱える強さと お腹の辺りを押さえる掌と そんな全てをもっと感じていたかった。 ザワザワのノイズが 全部を遮って、音が拾えない。 ああ、今まで適当に生きて 適当な事ばっかりやってきたから、ほんとに報い、かな 周りから白く滲んだ景色が消えていく中で 奏さんの悲痛に溢れた顔を見た。 やっぱり、思ってしまう。 どんな面でも 黄金比は、健在。 ‘アイシテイマス’ ちゃんと、届いたかな カナデ、サン これ程となく真っ白な世界で あたしは 白い闇に突き落とされた。
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