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スィと伸ばした指で 既に外れたシャツのボタンを辿る。 「はしたないこと言ってもいいですか」 あの、めちゃくちゃなミダレタあたしが どんなに我慢したのか、分かりますか 我慢している筈だったのに いつの間にか気が付けば、あなたじゃなきゃイヤだと 思っていた。 「……奏さん、」 やっと閉じられたボタンに指を、手を添える。 「もう、我慢しなくていいですか? ずっと…… 貴方が我慢しろ、というから、ずっとそうしてきたんです」 開かれてゆく胸元 露になる胸板 早く触れて、みたい。 「我慢?……どれくらいの、我慢?」 右手を整った腹筋から上へ上へと撫で 肩に手をかけ、親指で鎖骨の窪みを撫でる あたしの左手はもっと、だらしなくて 彼の胸で一旦停止して、その突起を指で遊びながら やっぱり肩に手をかけた。 手を差し入れてカッターシャツを脱がせる。 腕は肘のところまで そこで絡み付いたシャツを見て、急に激しく燃えた我慢は 跡形もなく、炎にまみれ消えていった。 半ば、自由の効かない彼の身体に唇を寄せ 彼の疑問に答え 「……2回目の病院から」 熱い 熱い アツイ 淫らな眼差しで見上げて オネガイ、と強請る 逞しい、身体に唇を当てただけじゃ、もう、収まらない。 あたしの腰に大きな掌が下りてきて その、傷を親指が撫で上げ、撫で下ろし 「だから、我慢、しません」 周りの空気が変わった。 許可が下りたんだと、決めつけて 「……も、限界」 一応、断りを入れてから 口腔の粘膜と、筋肉で彼の身体を濡らす。
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