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‘華に、オレの愛を全部あげる’
しめやかで
やさしくて
うつくしい
音になったセリフは
空(くう)を舞い、そこに溶け込みあたしにいつまでも
降り注ぐ。
近付く別れのその瞬間まで
あなたの総ての愛しさを貰おうと心に決めて。
離れてしまったその後も、
それ以降もずっとあなたを感じていられるように
そして、
あたしを覚えていて貰いたい。
「奏さん」
「ん」
だから、だからね、奏さん。
「忘れられない夜にしましょう」
穏やかに言って
手首にまとわりついた掌を、その指をゆっくりと
繋ぎ直した。
ベッドの上で
シーツを乱す
あたしの視覚は奪われ
手の自由はキカナイ。
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