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こんなに、綺麗で、可愛らしい 凛とした空気を纏う女になったのか 連れ去りたい でも、それはオレの衝動であって 彼女の望みはそこには一つも含まれていない 他の男の目に、触れさせたくない 今だって見ろよ、華 このテーブルを振り返って見ていく男達 お前に視線を投げる男達 そして何よりも 副島 志伸の元に置いておきたくない 「華」 「はい」 「遠距離恋愛、する?」 華が一瞬、ポカン、と口を開けて 訳の分からない表情を見せたが 直ぐに、微笑んで 「しません」 やんわりと、否定した オレにとって 華が深手を負った次に、ショックな出来事だ 「……ちょっとは躊躇えよ」 「えーっと、……しません」 首を傾げて、微笑みながら、また、否定する オレはソファにどっかり背中を預けた 「二回も言うなよ」 「すいません」 酷い事を言われているのに この目映いばかりの微笑みにヤられるオッサン、ってどうよ 「数学楽しいですか?」 「……楽しくねぇ」 「は?」 「楽しくナイ、って言ってんの」 オッサンの癖に拗ねるなよ 「嘘つき」 そう言いながら、華はケラケラと笑った
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