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「大好きな癖に」
「華の事が、ね」
「……数学ですよ」
「好きじゃない」
「奏さん、駄々っ子みたい」
とうとう声をあげて笑う華
ずっと、こうしている事を
こうしていられる事をお前は望まないの?
「デート、しましょう」
「……」
「だから、機嫌直してください」
華が席を立ち、オレの横に座り
少しオレより温度の高いその手を、オレのに繋ぐ
「行きましょう」
「……一緒に?」
見つめたその先に
お互いの瞳
先に目を閉じたのは、彼女の方だった
二人の距離はこんなに近いのに
まだまだ届かない、魂のキョリ
交わしたキスは
どう見ても、愛し合う二人のソレなのに
同じ位置に留まる事も許されないのか
「あんまりイチャイチャすると……」
華は唇を離して呟いた
「すると、何?公の場で、よくない?」
オレの問い掛けに、フルフルと小さく首を振って
そして、オレの理性を根元からバッキリ、と、へし折った
「発情しちゃうから、早く行きましょう」
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