終 #2

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「今更だな」 響ちゃんはシレッ、と言った。 こんな所は、そう、聖さんみたいだ。 「……親父みたいだな」 奏さんが呟く。 やっぱり、そうなんだ。 「過ぎた5年のうち……君の本当に可愛くて、まだ バブーしか言えなかった頃を見られなかったのが 本当に残念で、仕方ない……」 「は?バブーなんて今時の乳児は言わない」 「あ、じゃあ、おっぱいを無心で飲む姿も見逃して 本当に悔しいよ」 「……」 「ちょっと、実演してよ、きょーちゃん」 「は?」 あ、あの響ちゃんが ちょっと、タジってる! 「華のおっぱい、飲んでみて」 「……おい、華、これ、本物の三神 奏、か?」 ユラリ、と立ち上がった奏さんは 響ちゃんの座るソファへ移動する。 「きょーちゃん、いつ立った?いつ歩いた? 最初の言葉はなんだった?」 響ちゃんがソファの上を後退りする。 「オレの論文、どれが好き?」 「は?あ、非可換幾何が」 「ああ、あれは良かった、オレはねこう見えてもアインシュタインの大ファンなんだ」 そうなんだ、初めて知った。 いや、それよりも、響ちゃんが最後まで喋らせて貰えないなんて! なんってレア映像! 「きょーちゃん」 ボス、と115センチに上乗りする180センチ超 響ちゃんの顔が心なしか強張っているように見えて 「な、なんだよ」 「抱っこさせて」 「は?」
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