終 #2

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あたし以上にあたしを心配する志伸さんは ちょっとうるさい小姑みたいだった。 こんな風に言ったらダメじゃんね。 「志伸さん、前に厄介なの一件抱えてるって 言ってたよね」 「あ?うん」 「アレって、佳奈子さんの、だったんだ」 「そう オレの担当じゃないけどな オレにはさせてもらえないし」 「うん……」 「気になる?」 「……なるよ、そりゃ」 「彼女は至って正気だったよ 悪びれもせず、いや、悪いとさえ思っていなかった」 「起訴処分?」 「もちろん」 「不起訴になんて、なる訳がない」 「そっか」 「華」 あたしの隣で あたしを包む 志伸さんの愛は いつの間にか、ホントに家族のソレになっていて 「華は誰より幸せにならなきゃいけない」 「志伸さん?」 「本当にその日がくるまで、見守らせて」 「志伸さん、健気」 「お前がそれ、言う?」 「うん、だって、本当だもん」 力なく笑う志伸さんは もう、自分の艶に濡れた姿をあたしに見せる事は無くなっていた。 「華、愛してるよ」 「うん」 お腹に手を当てながら あたしにキスをするこの画は 間違いなく愛に溢れた家族の図。 だけど志伸さん 志伸さんの幸せは どこにあるの?
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