終 #2

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ここ何年? いや、響ちゃんが産まれた時ですら泣かなかったあたし。 何故かって? 規定のサイズより小さかった筈なのに この子は ちっとも、さっぱり出てこなくて えらい大変な目にあった。 助産師さんがあたしに跨がり お腹をグイグイと押し アソコは余分に切られて ほぼ、ドクターの手が丸々突っ込まれたかのようで やっと出てきたのは 分娩台に上がって 股をおっぴろげてから4時間後。 陣痛が始まってから18時間後の事だった。 お、お産って、命懸けってホントだわ…… それが感想だった。 まあ、でもソレなりの感動はちゃんとあるわけで この子も同じだけ苦しかった筈。 産まれる時からこんなに苦労させてごめんね、と 頑張ってくれて、有り難う、と 声をかけた。 ……まさか、いっくら天才でも産まれた瞬間からは言葉は解るまい…… チラリと響ちゃんを見て 響ちゃんはなにやらテレビに夢中のようで 頭がいいのはいい事なんだけど この性格じゃなぁ……
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