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心配なんて、する事なく
この男
幼稚園では物凄く可愛らしい。
「郷に入らば郷に従え、ダロ、華」
ぜ、ぜ、ぜ、ぜ
絶句デスから!
可愛くない!
初々しくない!
もう、漫画だよ。
漫画の世界。
大嘘だょ、嘘っぱちさ。
「華今日は?」
「今日はね、もう、そろそろひとつ片付くんだ」
「そうか、離婚調停も大変だな」
「……」
これが、親子の会話かなぁ。
いや、別にいいんですよ?
話が弾んで。
「華、これだけでいーの?封筒入れていいの?」
「あ、うん、志伸さん、お願いします」
「分かった」
「志伸も大変だな、華の迷惑ばっかり被(こうむ)って」
「!」
もう、頭痛い。
「いいんだよ、華はオレの可愛いイモウトだし」
「オレのイモウトが華だったら……ちょっとウンザリだな」
志伸さんはとうとう耐えきれず、大爆笑する。
「ちょっと!響!あんたホントにお母さんをバカにし過ぎ」
「バカに?失礼だな、バカになんてしてないよ
ちゃんと、尊敬してる」
そ、そうなの?
「ぶっ、クククククククク」
志伸さんは失礼過ぎるくらい笑い続け
「華がいなかったらオレ、という個体はこの世に造られて来なかっただろ?
充分、有難い。
母親は、それだけで尊敬に値する」
「あはははははははははははっ」
も、もう、あたし
響ちゃんを育てていく自信、ない……
「ま、華だけのお陰じゃないけどな」
響ちゃんが、ポソリと呟いた音は
聞こえなかった。
「……なに?響ちゃん、なんて言ったの?」
「別に?」
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