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響、お前、もっと子供らしく振る舞えよ キャピキャピしろよ ギャーギャー言えよ そして、たまには泣け 「いや、奏くんもこんな感じだったよ?」 「は?」 「うん、奏、ムカツクぐらい冷静だったわよね、お父さん」 連れ帰ったのは三神の、オレの実家だ 親父と姉貴に可愛いげの見えない響の話をしていたら まんまと墓穴を掘った 「いや、でも響ちゃんのが数段かわいい!」 ほら、ほら、と抱えようとする親父の攻撃を 仕方ねーなーばりに受け入れるなんて、大人の男っプリを披露している響 「おい、じいちゃん、キモイ、キモすぎる」 「華の息子だと思うと尚更かわいい!」 「じいちゃん!うざぃ」 三神の家に華と響を連れてきた時は それはそれはお祭り騒ぎだった 当然か まだ、姉貴夫婦には子供が居なかった 初孫にあたる響はそりゃ、猫っ可愛がりで 囃され、弄ばれ、何度かキレる響の姿を見たもんだ 今日は華が地方に出張の為 オレが一日響に付きっきりだ たまたま、響の幼稚園が創立記念日で預り保育も休みだった為、取材の予定しかなかったオレが 響を連れ出し、大学にゆき、そしてここにやって来た 「こんなに似てるなんてねぇ」 「ああ」 「響ちゃん、モテるだろうなぁ」 「それは知らない」 「ばっかね、あんた。 もう、将来を約束された面だし、頭は超絶だし モテない訳がないわ あ、アレが小さいとか、それくらいハンデがあっても いいわよね?」 姉貴が言うのでオレは想像してみる 「響は、もうムケてるよ」 「えっ」 「小さくない」 「えっ」 「そこもアンタ譲りかぁ」 「うるさい、姉貴」 何で知ってんだよ、小さく突っ込みを入れた
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