第1章

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  「………がはっ!?」 何度目の天井だろう 宙を舞い背中を打ち付けた衝撃に一瞬、呼吸の方法を忘れ意識が遠退く 従来の格闘技ならばこの地点で敗北だ。 しかし、遠退く意識を直ぐに取り戻し行動に出る。 そうでなければ倒れた私の眉間を目掛け拳が降り下ろされるからだ。 意識を取り戻し咄嗟に回避すると起き上がり手元から離れ地面に転がったサバイバルナイフを掴み構え直す 「はあ……はあ………」 呼吸を整え拳を降り下ろした相手を見据えナイフのグリップを握り締める。 地面に当たる寸前で止められた拳をゆっくり引きながら金色の髪を掻き上げ彼女は、此方を睨み付けた。 ―――これで終わりか? 歴戦を物語る隻眼の貴女は、既に失った声の代わりにその静かで冷たい眼で尋ねた。 この程度で終わりなのか、と  
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