でーたとういるす

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ある日の帰り道。私のデータが感染した。少なくとも私にとっては最悪のウイルス。データを再構築するのは時間がかかりすぎるし、再発のリスクも高い。では、このウイルスへの対処方法は? 答えはとてもシンプル。関係するデータを全て消去するだけだ。データは思ったよりたくさんあったけど、きれいに消した。たった二つの発生源からここまで広がるんだから、技術の進歩って恐ろしい。けれど、ウイルスを消していく単純作業は嫌いではなかった。 それからもウイルスは頻繁に現れた。消しても消しても。毎回なにかしら消しきれないようなものでもあるのだろうか。いっそ全てのデータを消してしまうのはどうだろう、なんて考えながら私は淡々とそれに対処していった。 ウイルスはだんだん強くなっていった。でも、やがてデータそのものの数が減りすぎて広がる事はなくなった。できることは減ってしまったけれど私は満足だった。たくさんのデータなんかに頼らなくても私は生きていける。私は自由だった。データやウイルスに縛られていたあの頃よりも、ずっとずっと。 データにもウイルスにも触れない日常が続いていた。データがなくなった今、私は一人ぼっちだった。 ああ……見つけた。 久しぶりにウイルスを見つけた。私は最後のデータを消すことにした。 のろまだってウイルスをばらまいたのはどのデータだっただろう、殺人者はどうだった? 忘れた。でも、それでいい。 時の経過で治療ができたデータももうダメだ。一人ぼっちというウイルスを産み出したから。今までのウイルスをためこんでいるから。 お気に入りのジュースで薬を流し込む。 私は使いなれた部屋のベッドへと倒れこんだ。
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