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「で、恩返しの内容決めた?」
テレビを観ながらサンドイッチを頬張っていると、オレの隣に座る相良静が期待に満ちた眼差しで尋ねて来た。
「まだその話続いてんのか」
「もちろんだよ、何してほしい?」
「そんな事言われてもなー」
いきなり『何してほしい?』と聞かれても、特に思い付かない。
「じゃ、何か欲しい物は?」
「んー……」
欲しい物だって、バイトしているから自分で買ってるし。
そもそも高額な物は分不相応だから欲しいとも思わない。
「あ、昼飯用にカップラーメンは欲しいかな」
「それじゃ恩返しにならない」
不満気に声を漏らす相良静に、オレまで溜め息が漏れる。
「僕が受けた恩はそんなもんじゃないんだよ。涼太は解ってない。僕が涼太に助けられて、どんなに嬉しかったか」
「知らねーよ」
「嬉しかったんだよ、スゴく」
次のサンドイッチに手を伸ばそうとして、そこで初めて相良静が身を乗り出してオレの顔のすぐ傍まで近付いているのに気付いた。
「近い」
速攻で顔を押し退けてやったけど。
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