2261人が本棚に入れています
本棚に追加
「だったらどんな恩返しなら出来るんだよ。機織りか?」
「それで涼太が喜ぶなら」
「うん、まぁ、喜ばないな」
残ったサンドイッチも食べ終えケータイで時間を確認すると、後一時間もしないで出勤時間だ。
今日は土曜だから、朝からは大学生のバイトが入ってる。
だからフリーターのオレは昼からの出勤。
「おい、相良静」
「何でフルネーム? 静でいいよ。あ、涼太になら『シズカちゃん』って呼ばれても……」
「おい、静」
改めて呼び直すと、静が「何?」と首を傾げる。
「オレ、この後バイトだから。お前も出て行けよ」
「え、何で? 終わるの待ってるよ?」
「お前一人この家に残しておく訳にはいかないだろ」
小学校の時の同級生とはいえ、得体の知れない相手だ。
家に置いておくには不安しかない。
それに、母親が帰って来るかもしれないし。
「バイトの間はお前も家に帰ればいいじゃん。どうせ恩返しの内容は決まってないんだし、後日改めてという事で」
オレのその提案に、静は納得してないのか渋々「解った」と答えた。
まぁ、恩返しとか要らないんだけどな。
.
最初のコメントを投稿しよう!