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「お前、何しに来たんだよ」
静に向けてトングを指すが、静はヘラヘラと笑っている。
「涼太にお菓子でも買おうかなって。ついでに涼太の仕事が終わるまで時間潰せたらいいかなって思ってさ」
という事は、オレがここでバイトしてるって知ってて来たんじゃないのか。
まぁ、ウチから一番近いコンビニがここだもんな。
「友達?」
静に無視された吉田さんが、カウンター内から身を乗り出してこちらを見ている。
「友達じゃないです」
心底嫌そうに答えてやるが、静は気にも止めてないらしくクルリと振り返って「ウチの涼太がお世話になってます」と吉田さんに向かって深々と頭を下げた。
「はぁ……『ウチの』ね……」
「誰が『ウチの涼太』だ」
身体を起こした静の背中にトングを持ったまま拳でパンチをすると、静が「うっ……」と呻く。
「痛いよ、涼太」
「お前がバカな事言うからだろ」
「挨拶は大事でしょ?」
だからって『ウチの涼太』って何だよ。
お前はオレの親か。
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