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「てめぇ……誰がバカだ、コラ!」
本当の事を言われて頭にきたのか、そのバカ面が拳を握って手を振り上げる。
が、その手はオレの胸元の名札を見てピタリと止まった。
「藤……崎?」
「はい、このコンビニの店員の藤崎涼太でーす」
「藤崎……」
途端にそのバカ面の顔が青ざめる。
ついでに冷や汗も流れてるみたいだ。
「藤崎って……あの……」
「さぁ、どの藤崎ですかねー?」
「藤崎が居るってコンビニはここだったのかよ!」
慌ててそのバカ面が胸倉を掴んでいた手を離し、「か、帰るぞ!」と周りにいた仲間共に声を掛けて、逃げるようにその場を立ち去って行った。
名前だけで逃げ帰るなんて……雑魚だな。
乱れてしまった制服を直して、悠々と店内に戻る。
「店長、追っ払いましたよ」
「大丈夫なのかい?」
「大丈夫です。アイツらも、もう来ないんじゃないですか?」
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