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「涼太には幸せになってもらいたいんだ。それがどんな事でも、僕は恩返しの為に協力するつもりだから」
「え?」
身体を離した静が、儚げに微笑む。
「だから、どうしたら恩返しになるのかちゃんと考えてね? でないと僕、一生ここに住む事になっちゃうよ?」
「それは……困るかも」
「でしょ?」
スッとオレから離れると、静は「お風呂沸かすよね? 用意してくるよ」と風呂場の方へと歩いて行った。
何だ、コレ。
何なんだよ、コレは。
抱き締められた感触がまだ身体に残っていて、動揺しながらタバコを一本取り出す。
でも手が震えてライターが点かない。
オレは静にとって特別なのか?
何で? どうして?
小学校の時にイジメから助けてやっただけで?
「あー、もう! 意味解んねーよ!」
床にライターを叩きつけると、静が「何事!?」と慌てて引き返してきた。
「お前だよ! バカ!」
オレの八つ当たりに静はポカンとしていたけど。
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