夏祭りSS

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護国札(ゴコクサツ) 平たく言えば、文字通りに国を護るための札貼り作業のことだ。 ある領域を『国』に見立て、邪気や魔物から『国』への侵入を防ぐ、退魔術のひとつである。 『国』に見立てた場所の周りを、ぐるりと特別に清めた護符を張り巡らせることで、中の『国』に邪なモノが入ってこれないようにするのだ。 そして今回は、その『国』がこの夏祭りのエリアであり、灰宮家のテリトリーになる。 「にしても、ただの夏祭りに灰宮家の警備とは。随分、豪華だよな」 灰宮家といえば、四大一門のひとつであり、代々退魔を得意とする名家である。 それが今回、桜華のお隣さんの、この地区の夏祭りに警備として依頼され、灰宮家が出向くことになった。 『もしよければ、護国札を手伝ってもらえないかしら』 一週間前。 近場である夏祭りということもあるのか、女子の先輩から集団で囲まれ、誘われ、散々東と逃げていた涼都は灰宮の申し出に飛びついた。 『もちろん、俺でよければ喜んで! 東、せめてお前は先輩とのデート、楽しんでこいよ!』 この時、涼都は実にいい笑顔だったらしい。(後の東談) 女子の集団に置いてけぼりされそうになった東は、慌てて縋った。 『ま、まって! 灰宮、それ俺も手伝うよ』
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