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「貴様はパラメータこそ平均的であるが、その髪、目の色は異質である。国にそのような……薄紫の髪と目を持つ人間などおらぬ」
「我らが教祖様は、貴様のその異質性に着眼なさった。貴様こそ神の遣わした選ばれし使徒だと!」
ウィスタリアは、拍子抜けした顔をした。呆気にとられた。
そしてやる気のない紫水晶の瞳で彼らを見、長い指で頬のあたりにかかった薄紫の髪をいじった。
異質。
その瞳と髪は、確かに彼自身珍しいと自覚はしていた。
短い生涯の中ではあるが、今まで紫の髪と瞳を持つものを見たことがない。親族を除いては。
「感づいてきたか? そう、貴様の血族こそが神の使い。誇るべき血族なのだ」
「……神の、ねえ?」
ウィスタリアは胡散臭い眼差しを白装束に向けた。するともう片方が怒った声を出す。
「信じられないというのか貴様!」
「お伽話みたいなことを信じろって言うのかよ」
彼は疲労感を感じさせる溜息をついた。面倒だ、と言わんばかりである。
「突飛過ぎて俺には理解できないし。てか、そういう胡散臭いの、俺信じてないんだよね」
「我らが教祖のありがたい勧誘を拒絶するか」
「俺にはありがたくないし」
「ならば、無理矢理にでも連れ帰る!」
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