第3リハビリ

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  なんだぁこいつ。もしやスマホゲームなんぞに興味が湧いたとかいうなよ? 勘弁しろよ、それだけは。 ある種の恐怖に怯えつつ、黒川にも画面が見えるようスマホをやや高く上げてやった。 「まあどっちにしろだ。見ず知らずの他人と繋がって、何やら貰ったりあげたり競ったり協力したりする点に関しては、どのゲームも似たり寄ったりだな」 「ほほう」 「……ほほうってお前、まさか」 「オッサンは何かやっていないのか?」 「あん? 俺? ツムツムってやつなら、娘が勝手にインストールしやがったが」 俺は娘にスマホを持たせていない。 まだ高校に上がる前から持たせる気はさらさらない。 スマホがなけりゃ成り立たない友情なんざ、捨ててしまったほうがマシだ。 この方針は嫁と一致しているため、連絡用の可愛らしいガラケーにとどまっている。 ツムツムとかいうLINEゲームは、どうやら娘の友達の間で人気らしく。 しぶとくせがまれ貸してやった。 お陰で今や俺のスマホには、何やら鬱陶しいLINEが頻繁に入るようになり。 こないだ特集を手伝った後輩に、非通知の設定を施してもらったところだ。 要するに、俺のスマホとLINEで通じている数多の知り合いも、ゲーム中毒ってわけなのだろうよ。 「これだ」 俺が画面を開いて見せると、姫までツツイと寄ってきた。 俺のスマホに4つの頭が群がる。 おいおいお前ら、場合によっちゃあオジサンはお前らを正座させて説教しなければならねーぞ? 「どうやるんだ?」 黒川の質問に、後輩に学んだ簡単な知識で対応する。 すると黒川は、無表情でゲームを始めた。 ……終わった。 日本が崩壊する。 この世の終焉だ。 鉛の気分に陥る俺をよそに、連中は順番にゲームを始め、ワイワイと盛り上がる。 やがてハートが無くなると、ようやくスマホを俺に戻した。 「なかなか面白かったねー」 「暇潰しにはなる」 「キャラクターが可愛いわ」 「兄貴上手だったね」 4人の会話を聞く俺は、生きた心地がしなかった。 「で、先輩は? なんかゲームしてないの?」 「え? 俺が? なんで?」 「なんでって。なんとなく」 「こいつがゲームなどするわけがない」 きっぱり言い放った黒川に、橘は満面の笑みを向けて頷いた。 「さすが悠一ご名答っ!」 俺の全身に、鳥肌が立った。  
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