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悠一は高々と携帯を掲げた。
【取引する気はあるか】
液晶に浮かんだ文字を、無表情で一読する。
疑問符はないが、これは自分に対する質問とみて間違いはない。
そうでないとすれば、この世で最も無意味な文字だろう。
掲げた位置でゆっくりと指を動かした。
『イエス』
【東門外正面、校友会館総長室にて待つ。取引期限、本日午後3時まで】
『了解』
素早く送信を済ませると、ショルダーのサイドポケットに携帯を突き刺す。
ベンチから立ち上がり、迷わず東門を目指した。
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