161人が本棚に入れています
本棚に追加
勇也の冷やかな言葉には何の反応も示すことなく、悠一はのんびりと冷蔵庫へ向かった。
毎度お馴染み『命の水』である。
それを片手にソファーへ舞い戻ると、傍らに立って腕を組む友人を見上げた。
「この事を知っているのはお前だけだ勇也」
「……ぎょ」
「この事を知っているのはお前だけだ勇也」
「ぎょぎょぎょ」
「さかなクンか?」
「すっっっごーーーく嫌な予感がするんだけど……」
「今後も他言は無用だ」
「分かってる分かってるけど嫌な予感がするーー」
下から掬い上げるような鋭い視線が、勇也の眉間を緊張させる。
「協力頼むぞ我が親友よ」
「……」
周囲に危害が及ばないと分かった以上、悠一の『橘勇也』利用率は格段に上がり。
そして、利用される立場の勇也の心情は、面倒に巻き込まれる不快さ以上に。
歓喜にも似た快感が押し寄せて、複雑化していた。
最初のコメントを投稿しよう!