第1章:躍動

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「いくぞアレックス!シュートだ!」 風希が思い切った助走から、大きく足を振り上げる。 彼らはアレックスの後ろにある公園の木々のうちの2本をゴールの枠にして、PKゲームのようなものを行っている。 「ほー」 思わず、敦からは感嘆の声が漏れる。風希とアレックスのそれはとても様になっていたからだ。 風希は同年齢の子と比較すると、身長が飛び抜けて大きいワケではないが、しっかりした体格をしているし、5月生まれな分成長も早いようだ。アレックスくんもエイドリアンさんの、外国の血を受け継いでいるだけあって、手足が長く、それをしなやかに使いこなしている。 幼稚園でスポーツさせてみたら、おそらくいつもトップツーだったりするんじゃないだろうか。 そんな小さな二人をよそに、エイドリアンさん夫婦は木陰に敷いたビニールシートの上で楽しく、小さな二人の遊びを眺め、流暢な英語で談笑していた。
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