第2章・第一部:平時

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「なんでゆうまが生き返ってるのよ!」 「へへん、元外(最初に外野であった者で、途中から陣地に復活する権利がある)だったんだよ!」 子供たちはドッヂボールを行っていた。 ドッヂボールというのは端から見ていても面白いことがある。子供ながらに、すでに小さな社会があり、その一部がここに表れるからだ。 ゆうまと呼ばれた少年は、スパッと快速球を投げる。狙われたのは、先ほどゆうまにイチャモンをつけていた響子という少女なのだが、キャッと素早く逃げたため、ボールはそのままの軌道を保った。 そして、両手で持つには丁度具合のいいボールが、ある少年の腕の中に収まった。 さらに、その少年は素早く、足で地面に書かれたボックスの中央部へ走っていく。 「やっべ、風希に取られた!」 ボールを放ったことで、他よりも前に競りでていた優真も素早く後ろに下がっていくのではあったが、 「遅いって!」 風希の豪速球を前には、バシンという身体に強く当たる音を立てずにはいられないのであった。 ちぇー、と言い優真は再び外野へと帰っていった。
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