第2章・第一部:平時

10/32
前へ
/50ページ
次へ
朝を爽やかに感じ取ることが出来るのは、子供たちとすでにリタイヤした高齢者、それから子持ちの親たちに与えられた能力なのだろうか。 淳は自分の息子がせかせかと、毎週朝から練習への準備をしている姿を眺めながら、ソファに腰をかけていた。 結婚するまでは日曜日の朝なんて、寝ているか、呼び出しにより仕事へ行く辛い時間のどちらかであったものの、今では快活に望んで野球をしにいく息子を見るのが微笑ましい時間となっている。 嫌がる素振りを見せず、楽しく練習をやっている様子を見ると、これもすでに一つの才能なのだろうと、淳は感心するばかりだ。なんせ、高校球児だった淳にとって、練習は全て楽しいものではなかったからだ。もっとも、今となっては良い思い出である。 「かあさん!朝飯もう出来てる!?」 「出来てるから、早く準備済ませなさい!」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加